現代を生きる少女にかけられた呪い「本屋さんのダイアナ」柚木麻子

女の子のイメージ

柚木麻子の「本屋さんのダイアナ」を読みました。

 

読み終わった瞬間に、ものすごく誰かにおすすめしたくなりました。

胸がキューっと締め付けられたり、ぽわ〜っと暖かくなったり、充実の読み応えでした。

 

 

簡単なあらすじ

主人公は「大穴(ダイアナ)」という名前の女の子。

外国人の血は一滴も入ってないのにダイアナ、しかも幼い頃から母親に髪を染められパサパサの金髪。

自分の殻に閉じこもり周囲になじめず孤独なダイアナに、はじめてできた親友の彩子。

 

もうひとりの主人公、彩子は裕福な家庭に育ち、両親から愛情いっぱいに育てられ、中学から私立の女子校に通う。

境遇の違いすぎるダイアナを「おとぎばなしのヒロイン」のようだと憧れる。

 

そんなふたりの15年間の成長の物語です。

 

 

キラキラネームが持つ呪い

本の帯には「現代の『赤毛のアン』」と書かれていますが、本当に現代を象徴する問題がたくさん出てきます。

 

ダイアナの母親は16歳でダイアナを産み、歌舞伎町のキャバクラで働き、浜崎あゆみや西野カナがお気に入りで、部屋中のものをキラキラのシールでデコるのが趣味という典型的なギャルママ。

 

競馬好きだったダイアナの父親にちなんで「大穴(ダイアナ)」とつけた、らしい。

その名前のせいでダイアナは自分を否定し、孤立していく。

 

 

あたりまえだけど、名前って大切。

私の名前は最後に「子」が付く典型的な普通の名前。

35年以上前の名前ランキングでは上位の常連だったから、今でいう「シワシワネーム」の部類。

 

普通すぎて古臭い名前が、私はずっと嫌いだった。

何度も親になんでこんな名前にしたのか聞いたけど、「おばあちゃんの名前から一文字とっただけ」と簡素な答えしか返ってこない。

 

変な名前だろうが、古風な名前だろうが、真剣に考えて熱い想いを込めてつけてくれたならもっと受け入れられたのに、と思っていました。

 

自分の名前が嫌いって、最大の自己否定だから、やっぱり私も自分で自分を狭いところに閉じ込めていたんだと思う。

 

 

女であることの呪い

彩子の母親は高齢で彩子を産み、自宅で料理教室を開き、近所のママ友たちから一目置かれている。

子供にも質の良いものを持たせ、キャラクターグッズは買い与えない。

 

そんな環境で育った彩子は高校卒業までイイ子で問題なく育っていく。

だけど、大学で起こったある出来事を境に変わっていく。

 

物語の前半はダイアナと彩子の友情の話が中心。

小学生だった頃の、リカちゃん人形やシルバニアファミリーで遊んでいたキラキラした少女時代を思い出して胸が熱くなります。

 

後半、少女から女性に成長していく過程で女性特有の苦境に立たされ、自分を偽りながら過ごす彩子が痛々しくて、だけどすごく共感できるから悲しくてツライです。

 

 

本の内容とは関係ないけど、道を歩いていて後ろから来た自転車に乗る男性に、胸を触り逃げされたことが3回ほどあります。

露出が多い服を着ていたわけでもないし、後ろからだから顔も見えないだろうし、ペチャパイなのに、なんでこんなことされなきゃいけないんだと、悔しくてたまらなかった。

 

女性なら誰しも、大なり小なり一度はそんな怖い目にあったことがあると思います。

自分を正当化して、悔しさや怒りを押さえ込んで、場合によっては自分に呪いをかけて生きていく。

 

 

私の呪いを解けるのは、私だけ。

最後はダイアナも彩子も、それぞれにかけられた「呪い」に気づき、自ら行動を起こすことで、その解いていきます。

過去の自分を脱ぎ捨て、前に進んでいく様子はパァーッと心が晴れていくようで爽快です。

気がつくと、号泣しながらページをめくっていました。

 

 

二人を取り巻く環境は、特殊なようで誰にでも起こり得る身近な出来事でもあります。

かつて「女の子」だったことがある人なら必ず共感できるところがある素敵な本です。

これから大人になっていく、中高生の女の子にもおすすめです。